むか〜し昔、花には色がありませんでした。見分けのつかない花を見て神様は好きな色を付けてあげると言いました。神様は大きなパレットを持って花の望む色を付けてあげました。薔薇は赤を、向日葵を黄色を。すべての花たちに色がついたとき神様のパレットは空っぽになりました。そのとき・・・「私にも色をつけて下さい」と、そう言ったのはまだ何の色もついていない透明な雪でした。しかし、神様のパレットにはもう色がありません。そこで神様はたくさんの色を持っている花たちに分けてもらうようにと言ったのです。雪は花の所に行き色を分けてくださいとお願いしました。しかし皆、冷たく寒い雪が近づくのを嫌い誰も色を分けてはくれませんでした。悲しく寂しい思いをしているその時、雪にそっと話し掛けてきたのが片隅にひっそりと咲いていたスノードロップでした。「私の色でよければ分けてあげる。薔薇や向日葵のように明るく艶やかではないけれど・・・」と、雫の形をした花は清らかな白い色。雪は喜んでスノードロップに近づきました。そしてスノードロップも雪に寄り添って色を分けてあげたのです。そのときから雪は真っ白な色になったそうです。
雪が地面を埋め尽くす冬の最中、花たちは皆枯れてしまいますが、スノードロップだけは雪に優しく抱かれて美しく咲くのでございました。(スノードロップの伝説) |